今回の制作で「ヴァージンロードを歩けるガラスの義足」にこだわっていたのは、幾つか理由がある。義足は歩行に関わることが自分の人生を歩むに繋がること。女性として人生の第一歩を新たに踏み出す場は、やはり結婚式しか考えられなかったこと。そして、人の結婚式に出ることがとにかく好きだったことである。
我が家は冠婚葬祭が比較的多い家庭である。ご高齢の方が多い為、法事や葬儀などの方が圧倒的に多く、お祝いごとにはあまり子供時代に参加できなかったこと、友人たちに呼ばれた結婚式知らない儀式を見れること、関係が全く分からない人たちと2人の夫婦を祝う事が面白く、結婚をした友人たちの知らない一面や出来事が楽しい空間で知れることがとても好きだからだ。
しかし、独身の私には結婚式のしきたりなど全く分からない。なので、結婚式の様々な情報を集めようとwebでプロフィールの写真が素敵だったフリーのウエディングプランナーをしている坂本さんにお話を頂いた。
自身の結婚を機にウエディングの業界に興味を持ち、「今まで以上に人生の記憶に残る仕事を続けたい」とプランナーへ転向された方だった。結婚式には「静と動」があり、それぞれの儀式に意味があるということ。ヴァージンロードの色でも意味が違うこと、所作のそれぞれにも意味があることなどとても面白い話を伺った。海外では、夫婦になるまでに何度も役所へ出向き、段階を踏んで2人の気持ちが夫婦として向き合える覚悟が決まってから神に誓いを立てると伺った。その時の衝動で婚姻届を出せることではないと言っていた。結婚はゴールではなく、新たな人生の始まりを歩む二人が親しい人の前で誓うことが大事だと伺った。結婚式にも儀式の静と披露宴の動があるというのも、祭りのようで面白い。ウエディングプランナーというお仕事は夫婦の結婚式の要望を伺い、台本を作る脚本家のような役割だということも初めて知ることだった。また様々な結婚式を支えてくれるカメラマンやヘアメイクなど式を支える裏方にスムーズに伝えるディレクションをすることも伺った。夫婦の様々なご相談を受け止めてくれる頼もしい存在だと思いつつ、結婚式までの主な準備を聞くだけでやることが多いこと。結婚式を挙げた友人たちの意見で多かったのは旦那が手伝ってくれずに喧嘩になったことが一番多かった理由が頷ける。特に1ヶ月前に揉めることが多いとも伺った。また、当日も進行通りに上手く行く式もあれば、天候などどうにもならない理由で上手く行かないこともある。ドラマの様な素敵なエピソードも伺ったが、そんな式も、何事もなく終わった式も挙げた花嫁さんにとっては一生記憶に残る思い出だ。という言葉が印象に残っている。ゲストをどうおもてなすかも大事であるが主役はやっぱり夫婦。思い通りの結婚式を挙げるため、夫婦でコンセプトを作り必要なことや人物を揃えて行く行為はデザインを作るプロセスと変わらないなと感じ。そのプロセスで夫婦になって行くことを実感して行くのが大事なのだと分かった。
先輩花嫁である友人たちの意見で多く上がっていたのも両親と友人をおもてなしが出来て良かったという話が圧倒的に多かった。その中で、「自分にとっても親にとっても人生の区切り・仕切りという意味で結婚式をやって良かった。学校を卒業すると人生の中で式みたいなことはないから。」という回答にハッとさせられた。母と娘の共依存的な関係を互いの為により良い方向に持って行く為には、「結婚」という選択肢も必要なんだと改めて実感した言葉であった
引用:「Hollyhock Wedding」http://www.cosmopura.com