Story
Princess Legができるまで

 今回義足のモデルと制作協力をして頂いたちょーこさん。彼女との出会いは、Co-Co Life女子部の遠藤さんからのご紹介であった。ターゲットである10-20代のモデルが見つからず藁にもすがる思いでメールを送り、読者モデルで合いそうな子がいるとご紹介頂いたのが彼女であった。
最初の印象は、歩くのが早いちょっと変わった可愛い子だという印象であった。話してゆくうちに彼女も美術の大学を卒業し、デザイナーを行う似たような職業であったこと。さらには地下アイドルの活動と、個人でイラストレーターの活動も行なっていると精力的にマルチな活動をしていた。私より忙しそうだと感じていたが彼女はこちらの状況を理解して、手が回らなそうな部分にまで気を使ってくれた事は大変有難かった。

彼女は小学生の時に、ダンプに轢かれて右足を大腿部まで切断、左足も切断寸前まで検討していたのだが、お医者さんの懸命な治療と若さを信じ残してもらっていると語っていた。その時に様々な大人の助けがあり今生きていること。彼女がよく口にしていたこと「周りの大人に生かしてもらったのだから、私が生きて好きなことをやることが一番の恩返しになる。」という覚悟と信念が、心の底からカッコいいと感じていた。
会うたびに、互いの今まで行なってきた活動や好きなこと、人生のこと、彼女の祖母や家族の話やアイドルの話、さらにこれから何がしたいかと夢を夜遅くまで互いに語り合った。大学生活の最後に昔を思い出し、ものすごく青春を謳歌してると充実した時間であった。

私は彼女のことをとても尊敬している。何をするにもポジティブで強い、そんな女性に会えたことで当事者女性のイメージが変わった。何を持っていても「私」は「私」という女性の強さ。彼女は障がいを持っているという部分より、性格の良さが先に印象を与えてくれるからだと感じた。義足を使っていることを話しながらほとんど忘れてしまっていた。女性の良さも、ハンディという部分も知っている彼女は私より数倍の覚悟と度胸を持っているからこそ、教えて貰う事がとても多かった。
彼女のライブで初めて見る地下アイドルの現場も新鮮で、そこで活躍するアイドルの子たちも限られた時間でお客様に印象づけようと様々工夫をして出演している姿も見た。ちょーこさんは少し前にアイドルとしてソロ活動を行うようになった。最初のソロライブを見たときに、今まで一緒に作業をしてきた時間を思い出し、感慨深い気持ちになった。荒削りであっても彼女のポジティブで明るさが周りを元気にしてくれる。そんな良さが出ている素敵なライブであった。
撮影の時に左足のパンプスがうまく入らず、慣れない足部と共に浮いたような状態で撮影をしていた。かなり痛い思いをしながら、文句も言わずに撮影をさせてくれた彼女には頭が上がらない。ヴァージンロードを歩いている姿も不安を一気に取り去るくらい簡単にこなす姿はとても頼もしく、義足を履き替える動作にも様々な所作があり結婚式の儀式の一部の様に崇高であった。

素敵な友人を紹介してもらったこと、会うたびに彼女が愛おしく感じることも多くなった。時には助けられるアドバイスも沢山頂いた。何度も打ち合わせや撮影にも付き合ってもらい、彼女と会える時間をとても楽しみにしていた。共に制作出来た時間は前向きな気持ちを貰え、彼女を素敵なお嫁さんに変身する姿を最高のものにしたいと願いつつ制作を行っていたことを覚えている。

参照:「ちょーこ Twitter」https://twitter.com/choco1127